「eternity Calling」 | ||||
B5/ページ数未定 表紙 カラー/本文 スミ1色 「ONE 輝く季節へ(Tactics))」長森 瑞佳の小説 text and edit by 成瀬 尚登 / illustration by 不知火 菱 即売会価格 500円 ※「Calling」を翻案して書かれた作品です。 [履歴] 2001年08月12日(Comic Market 60) 初版発行 2001年10月28日(Comic Revolution 30) 第二版発行 ・語句表現の修正、誤字脱字の修正 |
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【本文紹介】 「……ずっと、こうしていられたらいいな」 瞳を閉じて、少女はうれしそうにそう言った。幸福感に満ちている貌だった。 その貌を見て、浩平は無碍に払うことができなくなってしまった。 恥ずかしさに耐えて、対面の信号が青になるのを心の中で急かした。 やがて、人の群が動き出す。 少女が頭を離したのを確かめて、浩平は歩き出した。 歩き出して、なおも空を見上げる。 赤い影がたなびく雲に落ちていた。 いつになく、それは赤く見えた。 その中に吸い込まれていくのではないか……そんな漠然とした不安に、浩平は急に襲われた。 雑踏に紛れたまま、みずからの存在が希薄になっていくような、そんなとりとめのない不安だ。 すると、不意に浩平の手がぎゅっと強く握られた。 少女の手だった。離れないと意志がそこにこめられているように感じられた。 だから、浩平はその手を握り返した。 横断歩道を渡り切り、人混みから抜け出す。 振り返ると、恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、うれしそうに浩平を見つめている少女がそこにいた。 ☆ 髪を撫でる。たまらなく愛おしいと思うから、こうしている。 ☆ 少女がいた。いつからいたのかわからない。 |
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