Interloper I


※2000/02/02 一部改訂後、再掲載。

※[Interloper] 邪魔者、おせっかい、の意

こんにちは、はじめまして、成瀬尚登と名乗っている者です。「NADESICO the MOVIE REMIXED featuring Yurica」を読んでいただいてありがとうございます。この「Interplore」は、小説のあとがきというか「なかがき」にあたるものを書いていきたいと思います。


 この小説を書いたいきさつですが、発端は、絵師のラスカル師と飲んでいたときに、劇場版でのユリカの扱いについて「ひどいねぇ」と話し合っていたときです。ルリが主役というのは仕方ないとしても、だからといってユリカをあんなふうにする必要はないし、どうせなら、提督としてナデシコbに乗ってたほうがもっとおもしろいんじゃないか、と。たとえば、ユリカが例の場面で、「敵のほんとうの目的、みましょうよ」と言った方が、かっこよくていいじゃないか、と。話としては、まあ酒の肴程度でその場は終わりました。

 さて、そのまま着想をほおっておいたある日、ふと、「バイザーをつけたユリカ」というアイデアが浮かびました。すると、その瞬間、一気にストーリーが見えてきたのです。バイザーをつけることによってこそ、「かっこいいユリカ」というモチーフが生きてくることに気づき、さらに新しいモチーフが出てきました……ユリカのアキトの「喪失」とモチーフが。


 もう一つ、これはキッカケではなく動機なのですが、制作者による劇場版のストーリーからのユリカの「破棄」がどうしても我慢できなかったということがあります。もちろん、単にひどい扱いなだけであるなら、それはファンの身びいきに過ぎないし、また、ストーリー上での扱いに意味があるのならそれも仕方がないと思いますが、率直なところ、どうしても納得がいかないという思いがずっとありました。劇場版での制作者が意図したものが、本当にパンフレットや雑誌などで記されているとおりだとしたら、もっといい解決法があるのではないか、と。ユリカを破壊しなくとも、ユリカひとりにストーリー上のいわば”業”を負わせなくとも、同じテーマに取り組むことは可能であると、敢えて証明したかったのです。

  劇場版 成瀬版の目指す方向
ユリカの扱い ルリ−アキトの話にするために、それまで形成してきたユリカ−アキトのプロットを崩してユリカをストーリー上破棄
しかし一方で、ルリ−アキトを徹底できず
ルリとユリカのいい関係を見せ、同時に、アキトに対する想いについての両者の温度差をみせることで、ユリカ−アキトとルリ−アキトのプロットを維持
アキトとユリカの

「成長」

「ユリカには成長が必要」という前提がまずある。
そのためにはアキトが変わらなければユリカも変わらないと言いながらも、アキトが”変わった”ことをユリカに見せていない。
さらに、私怨で復讐するアキトを”成長”と呼んでいいものかという根本的な疑問も残す
アキトを失うことはユリカの自我に大きな影響を及ぼす。
ユリカとアキトが、いわば二人でひとりの関係ならば、アキトを失ったユリカは、必然的に”ひとり”へと成長しなければならない。すなわち、ユリカの成長はストーリー上必然のことである

 ここではっきり言います。この小説は”ゆりかまにあ”である成瀬尚登がユリカを取り戻すための話、すなわち、”ゆりかまにあ”としての人の執念、”闘うゆりかまにあ”としての一つの回答なのです。


 最後に、以下は書いてる途中で尋ねられたことや、今後フォローされないであろうことをQ&A方式で書いていきますので、参考までにどうぞ。

Q1 ユリカとアキトの現状について、劇場版との違いは?
A1 アキトについては劇場版とほぼ同じです。ただ、復讐の動機が少し違います。
ユリカについては新婚旅行中の北辰の襲撃というところまでは劇場版と同じです。ただ、ユリカはアキトのおかげで助かりました。その後は現場復帰して、准将になっています。
Q2 ユリカのバイザーになにか意味はあるの?
A2 身体的につけなければならない理由はありません、ご安心を
基本的には象徴的な意味を持たせているだけです。ただ、顔を隠すことによって、A級ジャンパー・ミスマルユリカという素性を隠す上で効果があるのかもしれません(「第1章3」参照)
Q3 「ユリカは准将なのに、提督になれるの?」
A3 調べたところ、なれるようです。大将・中将・少将と、准将が提督になれるそうです(ちなみに黒船で有名なペリーも当時の米国海軍准将だったらしいです)。ただ、准将という設定そのものには意味がないので、深く考えないでください(笑)。
Q4 リョーコの言う「一回しか(第1章7)」とはどういう意味ですか?」
A4 ご想像にお任せします……というのは、ちょっと無責任かも知れないですね(^^;;
作者としては「アキトを追いかけてつかまえられなかった」ことを想定していました。
ちなみに、ユリカの「3度目(第1章8)」については……ご想像にお任せします。
Q5 ユリカはなぜテンカワ姓を名乗っているの?
A5 ストーリー上でその疑問は解決されますので、もうしばらく読み進めていってください。

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