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「Liar! Liar!」 | ||||
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B5/58ページ/表紙 カラー/本文 スミ1色 「ONE 輝く季節へ(Tactics))」川名 みさきの小説 text and edit by 成瀬 尚登 / illustration by 不知火 菱 即売会価格 500円 [履歴] 2000年 8月13日(コミックマーケット58) 初版発行 (初版については[ 「Liar! Liar!」 初版 ]をご覧ください) 2000年 9月23日(コスチュームカフェ5号店) 改訂版発行 ・表紙デザインの変更・色合の調整 ・文章表現の大幅な改訂 |
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【本文紹介】 すると、不意に視線を感じた。 はっとして振り向くと、先程まで背を向けていた少女が、浩平を見て微笑んでいた。 「……夕焼け、綺麗かな」 何と答えようかととまどっていると、少女は先に声をかけてきた。 「夕焼け?」 「うん、夕焼け。点数をつけるなら、何点くらいかな?」 屈託なく、うなずいて少女は言った。 「そうだな……」 浩平はあらためて空を見上げた。 夕焼けに点数などつけたことなど、これまでに一度もない。そもそも、夕焼けに点数をつけるという行為の意味がわからない。 だから、その不自然な質問を、浩平は真剣に答えることにした。 「……55点」 「ふうん……結構、辛口なんだね」 少し期待はずれのような口調で、少女は言った。 ☆ 「先輩って……強いよね」 「強い……のかな」 虚をつかれ、少し考えるように、みさきは小首を傾げた。 「先輩を見ていると、生きていることはこんなに楽しいことなのかって思うし、一緒にいると、その楽しさを分けてもらえるような気がして……苦しいこととか悲しいこととかが、すうっと消えていくような、そんな気がするんだ」 「えっ……」 驚いた瞳を浩平に向ける。その端には恥ずかしさがのぞいていた。 「そんなことないよ。私、そんなにすごい人じゃないよ」 「そんな先輩といると、自分も強くなったような気がするんだ」 「……強く、ないよ」 みさきはつぶやくように言った。 「強くないよ。私、先天性のお人好しだから、まわりの人を信じているだけだし、それに、信じるしかできないんだよ」 「……それが、強いってことだと思うんだ」 ☆ 「たとえば、の話だよ」 「……たとえばでも、答えたくないよ、その質問には」 みさきの顔が気色ばんだ。 「そんなこと、絶対にないよ。どうしてそんなことを聞くの?」 「……ごめん……」 浩平はうなだれた。 すると、その頬を、みさきは優しく撫ではじめた。 「言わなくてもいいよ。浩平くんがどうしてそう思うのかは誰もわからないし、私にもわからないけど……でもね、私は、浩平くんの苦しみを受け止めることなら、できると思うよ」 「先輩……」 「それで、浩平くんのことを理解できるなら、私に、浩平くんの苦しみを、分けて欲しいんだよ」 ☆ 「俺は、先輩と同じ気持ちになれたんだよ」 |
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