[注意]この小説は完全にフィクションです。実際に存在する人物や組織によぉく似ている人がいたとしても、それはたまたまそうなっただけですので、お間違いなきようお願いします。


tm NADESICO the MOVIE(解説付)

text and edit by *1Naoto "N2" Naruse( n2cafe@s27.xrea.com )


 2201年*25月19日……。

 *3赤地に黒の派手なポスターの前で、一人の初老のオトコが手を合わせていた。

 不意に立ち上がる。

「……ユリカ、テンカワくんとうまくやっているかい……」

 

    ☆

 

 コロニー「*4ワールドカップ」

 戦艦*5”ダーウィン”の艦長・アオイジュンは、突如あらわれた正体不明機と交戦状態に入っていた。

 交戦状態と言っても、敵ははっきりとした姿を見せず、*6まるで噂話のようにすうっと現れては消えていた。ナデシコを離れ、もともと持っていた素質を開花させ、今や第一人者と目される彼とてもほとほと手を焼いていた。

 オペレータが叫ぶ。

「ハッキングを受けています!」

「コード*7『evolution turbo type D』に変更」

「はい!……ダメです、一部区画に侵入を許しました」

「あとで書き換えればいい。落ち着いて対処せよ……」

 だが、その時、戦艦ダーウィンのコミュニケの窓が一斉に開いた。

「なにぃ……!」

*8”DECADE&XXX”

……その直後、コロニーは爆発した。艦橋の混乱を的確な指示で抑え込みながら、アオイジュンは撤退の指示を出す。

 そして、一通りの指示を出し終えると、今一度シートに身を深くうずめ、つぶやいた。

*8Thanks、Good−Bye」、と。

 

    ☆

 

 ホシノルリは、試験艦ナデシコbで、コロニー「*9Rent」へ向かっていた。クルーは、高杉サブロウタとマキビハリ。高杉は元木連の兵士であったが、地球に来てからすっかりその文化にはまり、ことに自らのことを”*10マーク”と呼んでいる。

「艦長、こんなところに何があるってんですか。*11ロンドンとかLAとか、そっちの方が明るくていいと思うんスけど」

「でも、その前に、敵は必ずここに現れます」

「そんなもんスか?」

「ええ、*12テクノとレイヴは予言どおりきましたしね」

……その予言は的中し、まもなくコロニーは正体不明機の攻撃にさらされた。

 コロニー中に、謎のキーワード*13"SKNAF"が浮遊する。

 防衛のために駐留していたスバルリョーコと連絡をとり、コロニー内部へと進む正体不明機を追う。

 そして、その光景に、一同は息をのむ。

 劇場のようなステージ、そして、飛行機事故で死んだはずのミスマルユリカが、彼らが*14「終了」させたはずの遺跡に融合されていた。

 そこに現れる、また別の敵。

 スバルリョーコはその攻撃を受けたが、危機一髪というところに高杉が現れて彼女を救出する。

*15地球(globe)へ帰ります、高杉さん」

 リョーコは叫ぶ。

*16一回サポートしただけで、また見殺しかよ!」

 その言葉を敢えて無視し、ルリはコロニー「Rent」を後にした。

 

    ☆

 

「君たちには、コロニー*17『ヴェルディ』のサポートへ向かってもらう」

 地球に帰ってくるなり、ルリには任務を与えられた。

 即座にクルーを*18LAにある自宅へ召集する。

「極秘任務となると、ここは使えませんね……」

 ぽつりとマキビハリが言う。

 すると、ルリはちらっと彼を見た。

「ええ、もう*19ハワイに新しい戦艦を用意しています」

「え、そんな話があったんですか?」

「それから、今から新しくクルーを集めている時間もありません、昔の仲間を使おうと思っています」

 さりげない口調を、高杉が聞き逃さない。

「でも、探すのに時間が……」

「それは大丈夫です。……プロスさん、どうぞ」

 すると、髭の男が入ってきて、一通りの実務的な話をし、そして言った。

*20勢力を分け合ったあの方たちは去年ベストを出されたし、*21同期の方もブームになって復活されましたしね。まあ、ちょっとした同窓会のようなものです」

……かくして作戦が決まり、また、*22陽動として巡洋艦”アミーゴ”の出動を決め、ルリは*23東京・芝浦へと向かった。

 

 

 そこで、ルリは思いがけない人物と出会った。

 死んだはずのテンカワアキトである。

「生きていたんですね、テンカワさん……」

「君の知っているテンカワアキトは、死んだ。彼の生きていた証、受け取って欲しい」

 白い紙束を手渡す。

 それは、テンカワ特製アンプラグド版*24”Get Wild”の楽譜だった。

「こんな……こんなもの、受け取れません。テンカワさん、かっこつけてます」

「違う、違うんだよ、ルリちゃん……」

 ついっとバイザーを外すアキト。

 だが、気勢を制するように、ルリは言った。

「テンカワさん、変わりました。*25サングラスをとるのは最後の手段って言っていたのに……」

*26やつら(NHK)のせいで、とらざるを得なくてね。教育番組だったから……」

……5年ぶりの邂逅を果たした両者は、それぞれの思いを胸に、コロニー「ヴェルディ」へと向かった。

 

 

 *27コロニー「ヴェルディ」を二部落ちから救った戦艦*28”TKD”の直上に、新たな敵が出現する。

「艦長!」

「ルリちゃん!」

*29「先生!」

「……あの人に、任せます」

 時を同じくして現れた正体不明機を駆るテンカワアキト。息詰まる攻防……とは*30無縁のステージで、明るいトークを駆使し、敵を殲滅する。

 かくして、戦いは終わった。

……ユリカはゆっくりと目を開けた。

「あれ……みんな、老けたね」

 まだ完全に覚醒しきれない目でユリカはルリに言う。

「5年も経ってますから」

「そっか……アキト、アキトはどこ……?」

 その時、すでに、テンカワアキトは再び宇宙へと戻っていた。

 ルリは静かに、そして、笑顔で言った。

「あの人は戻ってきます。戻ってこなければ、追い掛けるだけです。だって、あの人は……大事な*31パントマイマーですから」


























……*32ギタリストだろう。


解説(文責・成瀬尚登)
*1
小室哲哉がクレジットとして使う「Tetsuya "tk" Komuro」の真似。一時期、単にtkとだけしていたこともあったが、海外進出に際して初心に返ったというところかもしれない。現在では、tkのロゴもある。
*2
TMN「終了」ライブの最終日。1994年5月18・19日にTokyoDomeでそれは行われた。
*3
「終了」ライブのポスターの色がこの色だった。
*4
TMが復活するという話自体は、実は1997年の年末にtkがラジオで語っていた。その際の理由が「ワールドカップは4年に1回だし、それに合わせて」
*5
ダーウィンとは、小室哲哉の弟子(と一般には言われているが、Daivaというゲーム音楽からファンになっていた私からすると、弟子だとは思っていない。才能をtkに認められたというべきだろう)である浅倉大介の事務所の名前。以下、アオイジュン=DAという設定で進んでいく。
*6
TM再結成という噂は、tkが明言する前に何度か発生した。最たるものは、tkが宇都宮隆をサポートしたときであろうか。そのたびにやきもきさせられたものだ。
*7
先だって封印を解除したTMRの名称、「the end of genesis T.M.R. evolution turbo type D」より。これは邪推に過ぎないが、TM=TMRとなりつつある昨今の状況を鑑みて、TM復活に際し、tkがDAに強権発動して改名を迫ったという見方を私はしているのだが、さて……?
*8
DAが貴水博之と組んでいたユニットAXSの、TM終了に際して送ったトリビュートソング。当時はまだTM終了という事実を公表できなかったため、「XXX」となっていた。「Thanks,Good-Bye」が本来入るべき言葉。歌詞も、TMへのリスペクトのこめられたものになっている。ちなみに裏設定だが、このキーワードを送ってくるということは、ラピスは……?
*9
ウツが出演するミュージカルのタイトル名。以下、コロニー内部の描写がステージ風なのはここからきている。ちなみに、再演決定。
*10
当然、globeのマークパンサーをもじっている。では、ハリくんは? ルリのローディーみたいなものだから、いわずもがなでしょ(笑)
*11
共にtkがよく利用するスタジオのある名前。H jungleの時、ダウンタウンの松本に、何がロンドンにあるんですか、とつっこまれていた。空気が違うというのが本人の弁だが。
 
*12
tkがtrfのプロデュースをする際に語ったと言われる言葉。確かに間違いなく、この”電気仕掛けの予言者”は予言を自ら的中させたのだった。
*13
逆から読めばFANKS。TMのファンのことをこう呼ぶ。ファンも自らこのように呼ぶ。用例「10年来の−」「LOVE TRAINからの−」
*14
一般的にTMは「解散」したと言われるが、正確には、TM NETWORKからTMNに至るプロジェクトの「終了」である。解散はしていない。
*15
Keiko、Mark、tkからなるユニットのこと。説明はいりませんね。
*16
宇都宮隆の曲を、TM終了後、初めてバックアップしたことを指す。この当時、復活の噂がながれたのは前述のとおり。ただ、残念ながら、あまりぱっとしなかったのも事実。ちなみに、作者としては、*15と*16の絡みで一番笑って欲しかった。
*17
今回のTM復活は、JリーグJ1のヴェルディ川崎のサポート曲を作るに際し、木根尚登がtkとウツに声をかけたことに端を発する。
*18
LAにtkの豪邸があることは、割に有名。
*19
tkがハワイに新しくつくったTKDスタジオのこと
*20
氷室京介や布袋寅泰らが所属していたBoφwyのこと。ロックバンドとして比較した場合、あちらの方が遙かに健全だったことは事実。最後もロックバンドらしく、音楽性の違いで解散されてしまったが……。
*21
Nokkoがボーカルだったバンド、Rebeccaのこと。「Friends」なんて、私が小学生の時の歌だし……要するにシナリオライターが青春期に聞いていた曲が原体験となり、それでドラマに使いたくなるということでしょうか。ちなみに、「Moon」は幽霊の声が聞ける曲としても有名。
*22
アミーゴとは、鈴木あみのこと。かつてTMのライブの切り札だった曲「Be Together」をカバーしているが、はっきり言って声が出ていない。もっとも、tkは、TMの広告塔と明言しているくらいだから、それほどこの曲に関しては期待してなさそうだが……。「陽動」うんぬんは、この「広告塔」発言からひいている。
*23
昔、tkが使っていたスタジオのあった場所。「LOVE TRAIN」のビデオクリップで見ることができる。ついでに、木根さんの眼鏡姿も見ることができる。今ではめずらしくもないが……(*25参照)。
*24
出世作であり、いまやTMの代表曲である「GET WILD」のこと。ちなみにバージョンは、シティハンターのEDであったシングル版、アルバム「DRESS」に収録されている「GET WILD '89」、「CLASSIX I」に収録されている’89の再remix版「GET WILD techno overdub mix」があり、さらに細かいものを入れると、デモテープの「Version0」、「Rhythm Red」ライブでの通称「’91」がある。7/22発売のものは「DECADE RUN」というのだが、歌詞が微妙に変わっているため、別の曲と考える説も、そのうち出てくるかもしれない。
*25
かつて木根尚登はサングラスを絶対にとらなかった。それを黒柳徹子につっこまれたとき、彼は、サングラスをとるのは最後の手段、と返したという逸話から。
*26
(*25の続き)ところが、木根尚登がNHKの番組「夢ときどき晴れ」で司会をする際、普通の眼鏡で出演していた。天下のNHK、さすがにサングラスをとらせたのだろうか……。コレを見てちょっと悲しくなったのは、作者だけではあるまい(笑)
*27
今期、ヴェルディが、一時優勝争いをするまでに強かったのはご存じのとおり。
*28
tkの新しいレコードレーベルのこと。正式名称は、True Kiss Disk。ところで、tkは今ワーナー所属なのだが、TKDはソニー。でも、以前は、ソニー所属でavexやORUMOK(朋ちゃんのレーベル。Pioneer系)から出していたわけで……。複雑な大人の事情でもあるのだろうか。
*29
木根尚登がtkを呼ぶときに使う呼称。
*30
行った人の話を聞くと、とてもあたたかいライブらしい<木根さんのライブ。ただ、tkの物まねはそろそろネタが尽きてきたようだ、だそうです。
*31
木根尚登は昔TMのステージでパントマイムをやっていた。これをはじめとして、木根尚登はTMの「あたたかい」部分の担当をしていた。よく「歌はウツ、曲はtk、木根は何をやっているの?」という意見を昔きいたが、木根尚登がいて初めてTMとして成り立つというのは作者だけの見解ではあるまい。おそらく、FANKSの共通認識だと思われる。
*32
(*31の続き)ところが、御大tkが先日語ったことには、「彼(=木根尚登)はギタリストだったんですか?」……TM結成に際し、もともとキーボード指向の彼にギタリストをさせたのあなたではなかったんかい(^^;;>tk

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